「かじゅ魔」という名前を聞いたことがあるだろうか。本名・大高和真(おおたか かずま)。2010年代中盤、原宿の竹下通りから突如として現れ、10代の若者を中心に熱狂的な支持を集めた人物だ。読者モデル、アパレルカリスマ店員、YouTuber――複数の顔を持ちながら、短く激しい人生を駆け抜けた。彼の名はいまもSNS上で語り継がれ、TikTokやXでは追悼のハッシュタグが定期的に浮かび上がる。
かじゅ魔のプロフィール:北海道から原宿へ
かじゅ魔の本名は大高和真で、子供時代は複雑な家庭環境に育ち、17歳で高校を中退して上京した。北海道という地方から、日本のストリートカルチャーの中心地・原宿へ。そのギャップは想像するだけで途方もない。しかし彼はひるまなかった。
本名は大高和真(おおたかかずま)、誕生日は1998年6月5日、身長は173cm。所属事務所はレキシントン(LEXINGTON)で、こんどうようぢやとまんといった同世代の注目モデルたちと同じ事務所に在籍していた。「かじゅ魔」という独特のアーティスト名は、本名の「和真(かずま)」をもじったもの。愛称である「かじゅ魔」は、本名の「和真(かずま)」から取られている。
かじゅ魔さんは中学校を卒業した後にモデル会社にスカウトされ、読者モデルとなった。若い頃はWEGOの店員をしながらカリスマ読者モデルとして活躍していた。高校には行かず、10代のうちからひとりで稼ぎ、都内で一人暮らしを始めるというスタートを切った。普通の高校生が部活に励んでいる年頃に、彼はすでに原宿のど真ん中でキャリアを築いていた。
原宿WEGOのカリスマ店員として一世を風靡
竹下通りで働きながら読者モデルとして活動し、容姿端麗なことから中学卒業後に上京して事務所に勧誘され読者モデルになった。その後、WEGO店員としてカリスマ店員として知られるようになった。原宿系ファッションが若者文化の象徴だった時代、WEGOの竹下通り店は単なるアパレルショップではなかった。ここに立つ店員は、それ自体がひとつのメディアだった。
10代女子から熱烈な支持を受け、原宿から新たなスター誕生の予感があると報道された。モデルプレスなどのメディアにも注目され、SNSのフォロワーは急増。Twitterのフォロワー数は5万人を超え、現在は稼いだお金で一人暮らしを始めたようだ。当時の原宿では珍しくない存在になりつつあったジェンダーレス男子ブームとも時期が重なり、かじゅ魔のルックスは多くの女性ファンを引きつけた。
古川優香との交際:ファンを沸かせた読モカップル
かじゅ魔の名前が広く知られるようになったのには、交際相手の存在も大きく関係している。かじゅ魔さんは古川優香さんと同じWEGO竹下通り店で店員として働いており、働いていた時期も重なっていたため、そこで出会って交際に発展し、SNSで大人気のカップルとなった。
古川優香さんは読者モデルや人気YouTuberユニット「さんこいち」で活躍する女性で、現在も10代から20代前半の若者を中心に絶大な人気を集めている。ふたりは同事務所・レキシントンに所属するカップルとして事務所公認の関係でもあり、そのツーショットはファンにとってひとつの「推しコンテンツ」だった。しかし、2015年5月に別れてしまった。かじゅ魔自身はそのことをTwitterで率直に報告し、ファンに衝撃を与えた。
YouTuberへの転身と炎上騒動
カリスマ店員という肩書から、次にかじゅ魔が目指したのはYouTuberとしての活動だった。しかし、その道は平坦ではなかった。かじゅ魔さんはYouTubeにて、ハロウィンの渋谷に訪問していたのだが、その際に一般の女性にセクハラ行為を働いてしまい、さらにはその様子をカットせずに動画にしてアップしてしまったため炎上。その後に長く勤めていたWEGOをクビになってしまった。
これはかじゅ魔にとって大きな転換点だった。WEGOでの地位はただの仕事ではなく、彼のアイデンティティの一部でもあったからだ。販売員であることがかじゅ魔さんにとってのステータスのひとつであったために、これは彼のキャリア最大の失敗であったことだろう。
WEGOを辞めた後、かじゅ魔は北海道に一時帰省し、YouTubeで10万人の登録者を目指すことを宣言した。彼が残したメッセージには「必ず戻って来る」という強い意思があった。それが実現しなかったことは、あまりにも悲しい現実だ。
ホスト経歴と、その後の変化
WEGO退職後、かじゅ魔はアパレルの世界から離れ、新たな道を模索し続けた。かじゅ魔は、元読者モデル、WEGO(ウィゴー)竹下通り店の元カリスマ店員、ホストなどの経歴を持つ男性だ。TikTokやXでは、歌舞伎町のホストとしての姿も記録されており、彼が原宿から夜の世界へと活動の場を移したことがうかがえる。
SNS上の彼の言葉は、時に哲学的で、時に赤裸々だった。自身のTwitterでは「綺麗なものは遠くにあるから綺麗なんだよ。どんなに輝いてるものも手に入ればその輝きは失われる」といった言葉を綴っており、ファンは成長していく彼の姿に引き込まれていた。その言葉の背後にある複雑な心境は、今改めて読むと胸に刺さる。
悲劇的な結末:23歳という若すぎる死
2021年6月22日、戦慄かなのさんはご自身のTwitterで、かじゅ魔さんが亡くなったことを報告した。元読者モデルで、原宿・竹下通りにあるアパレルショップ「WEGO」の"カリスマ店員"として有名になり、YouTuberなどもされていた大高和真さん(享年23歳)、通称"かじゅ魔"さんが自殺されたことが明らかになった。
かじゅ魔さんはその12日前の6月5日に23歳の誕生日を迎えており、Twitterでも自身の誕生日について言及しており、自殺する雰囲気はまったくなかった。誕生日から12日後の出来事。どれだけのファンが言葉を失ったか、想像に難くない。
かじゅ魔の死因については正確な情報は明らかになっておらず、様々な憶測が飛び交ったが、事実は分かっていない部分が多い。SNSでは追悼のメッセージが溢れ、彼を知る人々が次々と言葉を残した。
複雑な家庭背景と見えていた傷
かじゅ魔の人生を振り返るとき、彼が歩んだ道の険しさが見えてくる。かじゅ魔は複雑な家族環境で育ったようで、母親と実の父親と義理の父親、下に4人の兄弟がいる家庭だった。1人目の父親はほとんど家に帰ってこずに500万の借金を残して消えてしまい、2人目の父親は母親にDVを繰り返す男だったそうだ。
17歳で単身上京し、自力でキャリアを築いた背景には、こうした困難な家庭環境からの脱出という側面もあったのかもしれない。華やかなSNSの裏に、誰にも見せない重さがあった。若くして泥臭く成り上がった彼の人生に何があったのかと、ファンは今も思いを巡らせている。
かじゅ魔が残したもの:SNS時代の若者文化への影響
かじゅ魔の存在は、2010年代の原宿カルチャーを語るうえで欠かせない。読者モデルという職業がまだ若者にとって憧れのキャリアパスだった時代、彼は竹下通りという舞台から、SNSの力だけで全国の10代に名前を届けた。
事務所のレキシントンには、当時メディア露出が多くなりつつあったジェンダーレス男子として有名なとまん、こんどうようぢ、ほりえりくなどが同事務所に所属しており、その中でかじゅ魔もツイキャスや各SNSで存在感を示していた。同時代の仲間たちが今もメディアで活躍するなか、かじゅ魔だけがいない。その空白は、多くのファンにとって今も埋まらない穴として残っている。
彼の動画は現在もYouTubeに残っており、再生数は決して多くはないが、コメント欄には追悼の言葉が今も書き込まれ続けている。「空白の一年間」と題された動画シリーズは、かじゅ魔が自らの人生の一部を包み隠さず語ろうとした試みだ。それを見ると、ただのインフルエンサーではなく、自分の物語を真剣に語ろうとしていたひとりの人間の姿が浮かぶ。
かじゅ魔を知ること、そして今を生きる若者へ
かじゅ魔という人物を改めて振り返ると、彼の人生はあまりにも多くのものを同時に背負っていた。複雑な家庭、突然の上京、華やかな注目、炎上、夜の世界への転身――それらが短期間のうちに押し寄せた。
SNS上では輝いて見えていても、画面の外で何を感じていたかは誰にも分からない。かじゅ魔が残したツイートやYouTube動画のひとつひとつが、今となってはその断片を映す鏡になっている。彼が「挫けることも多いけど、それでも立ち上がって見せます」と誕生日に書き残した言葉は、彼の本心のどこかを表していたのかもしれない。
かじゅ魔(大高和真)は23歳という短い生涯のなかで、原宿のカリスマ店員から読者モデル、YouTuber、ホストと多彩な顔を見せ続けた。名声と挫折、人気と孤独を同時に生きた彼の軌跡は、SNS時代における若者の「見える自己」と「見えない苦しさ」を鮮烈に映し出している。彼のことを語ることは、今を生きる若者たちへの問いかけにもなる。
※ もし今、精神的につらい状況にある方は、ひとりで抱え込まず、いのちの電話(0120-783-556)や、よりそいホットライン(0120-279-338)にご連絡ください。24時間、無料で相談を受け付けています。